スマートフォンの普及も進み、多くの生活者にとってデジタル、インターネットは無くてはならない存在になっています。この記事では、マーケティング施策の中でますます重要性が高まっているデジタル、インターネット広告の種類、目的別の最適な使い方について解説していきます。
目次
デジタル・インターネット広告とは
定義
デジタル・インターネット広告とは、その名の通りインターネットを中心とするデジタル上の様々な場所に出稿する広告の総称です。代表的なものはGoogle、Yahoo!等の検索結果に表示されるリスティング広告ですが、他にもディスプレイ広告、SNS広告、アフィリエイト広告など特徴的な広告がいくつか存在します。また種類や媒体によって掲載枠・出稿方法・課金形態等はまちまちです。※種類と特徴については後述します。
市場規模
国内のデジタル・インターネット広告の市場規模は年々拡大しています。電通の調査「2020年 日本の広告費」によるとインターネット広告費は2兆2,290億円で日本の広告費全体に占める割合は36.2%、前年比105.9%の成長となっています。
ちなみに同年のテレビメディアの広告費は1兆6,559億円です。いまやデジタル・インターネット広告はテレビ広告以上の規模となり、新聞や雑誌、交通広告などと比べても市場規模はかなり大きい領域です。
デジタル・インターネット広告の種類
そんなデジタル・インターネット広告はいくつかの種類に分けられます。種類も多くそれぞれ特徴が大きく異なりますので、ここでは主なネット広告の種類と特徴を解説していきます。
リスティング広告(検索連動型広告)
Google、Yahoo!等の検索結果に表示される広告です。各検索エンジンで任意のキーワードを検索するユーザーに広告を出稿でき、利用意向の高いユーザーにピンポイントでリーチすることができます。
※リスティング広告は別の記事で詳細な解説をしています。よろしければこちらもご確認ください。
ディスプレイ広告
Webサイトや記事内にある広告枠に静止画バナーなどを掲載する広告です。下記のキャプチャのように、記事ページの一部に広告掲枠があるのを見たことがある方も多いと思います。
代表的な媒体はリスティング同様にGoogle、Yahoo!が保有しているアドネットワーク(GDN、YDN)です。どの様なターゲットに配信できるかは媒体の仕様によって多少変わりますが、自社サイトに来訪済みのユーザーに出稿するリターゲティング配信、インターネット上の行動データなどから判定されるインタレスト(興味関心)配信、掲載サイトを指定するプレースメント配信などが一般的です。
SNS(ソーシャルメディア)広告
Facebook、Instagram、Twitter、LINEなどのSNS(ソーシャルメディア)に広告を配信できます。広告掲載の方式は静止画バナーや動画とテキストを組み合わせた形式が一般的です。
各媒体独自で保有しているユーザーデータ等をもとに、リターゲティング、インタレスト(興味関心)、自社のコンバージョンユーザーなどと類似するユーザーのターゲティング等が一般的です。特にFacebookは保有しているデータの豊富さから類似ユーザー配信の精度が高い等の特徴があります。
アフィリエイト広告
Webサイトを運営する個人や法人が記事などの中で商品やサービスを紹介し、事前に取り決めした成果の件数に応じて報酬を支払う成果報酬型の広告です。Webサイトを運営する個人や法人はアフィリエイターと呼ばれ、広告主はアフィリエイターを取りまとめている広告業者(ASP)を通じて広告掲載を行います。
成果報酬型のため低リスクで利用できますが、アフィリエイターがサイトに掲載してくれるかは条件次第で基本的に保証はありません。アフィリエイター側のモチベーションは基本的に報酬額ですので、高単価、高CVRな商材やサービスに掲載が偏りやすくなります。そのため業種や業界内でのポジショニング等によっては掲載されにくい事もあるでしょう。
一般的には健康食品や脱毛サロン、転職サービス系の掲載が活発です。
動画広告
※厳密には動画広告はフォーマットの一つでディスプレイ、SNS広告などにも内包されますが、使い方や目的が異なるケースも多いため切り出してご紹介します。
主にYoutube等の動画サイトに掲載される動画形式の広告です。動画の再生前や再生中に広告が差し込まれるのを目にした方も多いと思います。特徴は動画形式な点による情報量の多さや訴求力の高さです。
上述の通りインターネットの利用者は拡大しており広告費も増加傾向です。そのため、テレビCM予算をYoutubeを始めとした動画広告にシフトし、デジタル・インターネット中心でブランド認知を取りに行く企業も増えています。テレビCMよりもターゲティング精度が高く、リーチ数や動画の完全視聴率等などの指標も計測可能でPDCAが回しやすい点もデジタル・インターネット中心にシフトしている一つの要因です。
純広告
これまでご紹介してきた各種広告は、「運用型広告」と呼ばれる掲載にあたり任意の入札単価を設定でき、効果に応じて入札価格を柔軟に変更できる形式のものです。純広告は運用型とは異なり「予約型」の広告です。雑誌や看板などの広告と同様にあらかじめ掲載価格や掲載期間が決まってます。
下記のYahoo!トップの右側などに掲載される「ブランドパネル」代表的な純広告です。※近年は運用型でもこの枠に広告掲載も可能になってきています。
掲載期間などが保証されているため、確実に広告を掲載しリーチを取りにいける点が特徴です。そのためブランディング目的の施策で主に利用されます。※運用型のディスプレイ広告と比べてインプレッションやクリック単価は高くなりやすく、コンバージョン目的で出稿するとCPAが見合わないケースが多いです。
目的別:各種広告の使い方
解説の通りデジタル・インターネット広告の種類は様々ですが予算も限られる中で全ての媒体を使うことは現実的ではありません。ここからは目的別のオススメ手法をご紹介していきます。
考え方
前提として、ここからは各広告を下記の「ユーザー層 × 広告出稿の目的」で整理していきます。※目的の部分は一例ですので、自社のサービス特性も踏まえ適切に置き換えて利用してください。
事業成長や売上の拡大にすぐ繋がりやすいのはニーズが顕在化している比較検討や購買などファネルの下の層で、定石的なやり方はファネルの下の層から徐々に広告を出稿し着実に成長に繋げていく形です。ファネルの下の層を確実かつ効率的に獲得できるようになった後に、未認知や認知層にアプローチし、ブランド認知等を獲得し事業規模の拡大にレバレッジを掛けていきましょう。
目的別のオススメ広告種別
上記を踏まえ、各ユーザー層や目的に対してオススメの広告種別は下記になります。
※購買以降の層には広告ではなく、メール・電話・対面等での営業やCRM、CS部門でアップセルやロイヤルカスタマー化を狙うのが基本的にはオススメです。
ブランド認知や第一想起を獲得したい場合
訴求力が強い動画広告や新規ユーザーに確実にリーチできる純広告がオススメです。またこのフェーズでは予算によってはテレビCMも選択肢に入ってきます。予算が許せばテレビCM、動画広告を併用するプランニングができると良いでしょう。
一般論ですが、テレビCMの方が大量なユーザーにリーチできリーチ単価も安めです。デジタル・インターネットの動画広告はリーチ単価は上がりますが、その分精度の高いターゲティングや接触回数のコントロールが可能です。広告出稿の数と質を両立する意味では、テレビとネットの特徴を理解し上手く使い分ける形が理想的です。
またインターネットの動画広告はテレビCMと異なり最低出稿金額がないか低めなケースが多いです。小さく試したい場合はまずはこちらのみ初めて見るのも良いでしょう。
興味関心層の見込み顧客と接点を作りたい場合
この場合はディスプレイ広告、SNS広告がオススメです。各広告媒体が保有するデータを使って自社サービスに興味関心を持ちやすいユーザーをターゲティングし、広告を配信しましょう。SNS広告の場合は自社の顧客特性に近い類似ユーザー配信も精度が高くオススメです。
またこの層にリーチする場合、潜在的なニーズは持っている可能性はありますが、いきなり購入など顧客化させるハードルが高いです。※低単価、無料トライアルなどができるサービスを除きます。
これらの層に広告配信をする場合、BtoBであれば無料のノウハウブックや資料をダウンロードしてもらう、BtoCであればメルマガ登録など、ユーザーメリットがあり負担が少ないゴールを設定し見込み顧客の情報取得を最大化していきましょう。メールアドレス等の情報取得ができれば、その後のナーチャリング施策で顧客化に引き上げる等の多角的なマーケティング活動が行なえます。
比較検討・購買層を顧客化していきたい場合
この場合はリスティング、アフィリエイト、一部のディスプレイ広告がおすすめです。リスティングは検索を行っているユーザーなのでニーズも顕在化しており、購買や問合せなど顧客化に直結しやすいです。またアフィリエイトも基本的に各アフィリエイトサイトの集客手段はSEOかリスティング広告ですので、顕在層の獲得が行いやすいです。
ディスプレイ広告にはリターゲティングというサイト来訪者をディスプレイ広告上で追客する仕組みがあり、こちらの活用がオススメです。サイトに来訪し、問合せや購入に至らなかったユーザーをリターゲティングで追客する形が一般的です。
最後に
インターネット広告は市場規模が拡大しており、今後もマーケティングにおける重要施策の一つであり続けるでしょう。この領域を理解し、知識と経験を積み重ねていくことは事業成長の源泉になることは間違いないと思われます。
その中で最後にユニスタがお伝えしたいのは「手段に振り回されないで欲しい」という点です。
インターネット広告はテクノロジーの進化も早く、日々新たな手法や機能が開発されています。その中で、広告代理店・広告主どちらも施策目的や戦略不在で「新しい手法なのでとりあえず試してみる」という場面が目立ちます。
もちろん新しい手法を試すこと自体は悪ではないですが、目的や戦略不在なまま走り続ける事は貴重な時間とお金の無駄に繋がります。日々進化するテクノロジーの恩恵を事業成長にしっかり繋げていくためにも、今回ご紹介したような施策目的やターゲット層を整理する、それらが自社の課題とマッチしているか考えるなどを経て、新しい手法を自社のマーケティング活動に活かし、皆様のビジネスの成長に寄与できれば幸いです。
そしてその積み重ねが、デジタル・インターネット広告を更に発展させていくと我々は信じています。
ユニスタについて
ユニスタは、企業のデジタルマーケティング課題の解決に向けて総合的な伴走型支援をおこなっています。
経験豊富なメンバーのみ在籍しており、特徴は下記になります。
- 支援会社と事業会社両方でプレイヤー、マネジメントレイヤーを経験
- 事業成長に寄与する改善実績が豊富
- 戦略策定から施策実行まで一貫して対応可能
デジタルマーケティングの戦略立案や実行の支援、広告の運用代行、人材育成など企業の様々な課題に対応可能です。今なら月間5社限定、初回無料のマーケティングコンサルティングを実施中です。マーケティング施策に課題を感じている方は是非ご相談ください。